イングリッシュローズコテージの小さなお庭

庭作りはエンドレスー共同住宅でのお庭作りを振り返って

                                  2003. 4月 桜の咲く時期に
     
  雨上がりの朝、最後の蕾をほころばせる近くの公園の桜の何てあどけないこと!

     
 (お庭では薔薇の咲く前、パンジーたちがファンタジックに咲き続けて、私たちの目を楽
しませてくれます.その姿の何て愛らしいこと! 夢の国で咲くお花のようです.)

  新たに春が巡ってくるたびに、がれきの詰まったカチカチの地面に向かい合って、美
しい秘密の花園を夢見て取り組んだ6年前の春うららかな日を思い出します.
月日の過ぎ行くのは何て速いのでしょう!
    
     (3月、アーチの足元にこぼれるように咲く、可憐な匂いスミレ)

  15cmほどしかなかったブルーアイスグレーのコニファーの苗木が今や私の背をとう
に超えて、ちょっとカナダの森林のような幻想的なブルーがかった色彩でお庭のエッジを
彩っています. pekoちゃんが憧れて植えた白樺の赤ちゃんも空に向かって枝をいっぱ
いに伸ばして、暑い関東の夏も頑張って乗り切ってくれて、そして冬を幾たびか通り過ぎ
るたびに、木の皮がむけて、真っ白な大人の地肌になってきて、この時期のさわさわとし
た若葉のなんてみずみずしく、爽やかなことでしょう!
ひんやり涼しい春の朝は、小さなお庭の奥に植えられている白樺を眺めているだけで、
まるで高原にいるかのような幸せな気持ちを味合わせてくれます.そして早春からホワイ
トガーデンの薔薇の足元でひっそりと咲き続けているクリスマスローズのアンティークな
色合いの優しい花も、若葉の伸び始めた薔薇の木漏れ陽を受けて、命を謳歌していま
す.3号のポリポットに入っていた赤ちゃん時代を思い出すと、本当に年々何と大きくな
ったこと!
   

  この時期は裏の県立公園に生息しているうぐいすがお庭のすぐ前の雑木林まで遊び
に来てくれるので、求愛期間の美しいさえずりを楽しむこともできて、本当に感謝です.
ヒヨドリもメジロも皆、春の到来におおはしゃぎ。 長い冬の間、夜の冷え込みをじっとこ
らえて、ベランダまで朝ご飯の催促に来ていた彼らも、これからは素適に楽しい季節とと
もに巣作りや子育てに忙しい日が始まるのでしょうネ。
    
  (テラコッタのアヒル君たちもカップルで何だか嬉しそうにおしゃべりしています.)

  
  毎日のように庭では奇跡のようなシーンが繰り広げられて...。

   すーっと伸び上がった葉の中から、すっきりとした端正な蕾が現れることにびっくり
ですし、その蕾がまるで卵から孵るように、ある朝ふんわりと開き始める日の何てドキド
キする嬉しい発見でしょう!
             
            そして春の雨嵐にもめげずに吹奏楽を奏で続ける美しいその姿.

  薔薇たちの株元に植わっている宿根草たちも3月にようやく目が覚めて、4月に入
り、目を見張るような勢いで伸び上がり、葉っぱの中にたくさんの蕾を付け始めます.
毎年一回り大きくなる彼らの成長にもびっくりですし、暖かな春の陽光は日増しに強くな
ってゆき、生き物たちに成長に必要なたくさんのエネルギーを惜しみなく与えてくれます.
化学肥料を使わない有機栽培の花壇の土の中には働き者のミミズ君がいっぱい!土を
いつも耕してふかふかにしてくれています.


(スーベニールドラマルメゾンの株元に茂るのは黒花フウロ草、ワインがかった黒いゲラ
ニウムの一種で、絵画的なシックな美しさがあり、私のとりわけ好きな植物です.)

 
      (春の雨の続いたあと、4/24にはこんなに伸び上がって、可愛い花を咲かせ始めま
した.傍らのスーベニールの蕾が膨らんで咲く頃には、淡いパウダーピンクのティッシュ
ペーパーのように優しい色彩と黒花フウロソウのシックで落ち着いた花びらが素適に調
和する風景がまたとっても楽しみ...。)


  (左側のローズボーダーの中に、過酷な関東の夏を越えられた元気な子だけが翌年
さらに大きく育って...。 薔薇ととても相性の良いジギタリス。 薔薇の肥料を吸収し
て、まるでお野菜のようにこんもりと大きく育ってしまいます.)


(葉をいっぱい茂らせたあと、4/24には花穂がぐーンと伸び上がってきました.この子は
何色の子かしら、毎年蕾が色づいてくるまで、ワクワクしながら想像します.淡いピーチ
ピンクかミルク色、又は優しいふんわりしたパープルラベンダーのグラデーションの子だ
ととっても嬉しいのだけど...。でも例年、夏越しできるのは濃いショッピングピンクかブ
ルーのはっきりした色の子が多いの. とにかく色付くまでのお楽しみに楽しく想像して
待ちましょう. どうぞ意地悪なビル風くんが倒さないでくれますように!)


(花壇のエッジ際で横に広がって育つフロックス.もうすぐ葉っぱの中から蕾が伸び上が
り、甘く香る素適な青い小花を咲かせます.)

        
  (一週間後の4/19に可愛いお顔で咲き始めて、4/24には花壇のあちこちで満開にな
って...、とっても可愛くて、この子は香りもあるの。)

      
  (花壇の中のあちこちに毎年こぼれ種で咲く清楚で可愛い白スミレ、大好きです。)


(原種に近いゲラニウムがラベンダーブルーの可愛い小花を覗かせ始めています.)

  マンションの専用庭での庭造り...。
今思い返してみると、一軒屋の庭とは違ったある種の制約がありますし、作業や日々の
管理は上階やお隣の方へどうしても気を遣いながらとなります。
我が家のお庭の場合、立地上、お庭の横まで軽トラックや車を乗りつけることは不可能
ですし、土、レンガを含め、全ての資材は共同廊下を通って、玄関からの運び込みとなり
ます.

  土作りにしても、本当は生ゴミ堆肥をお庭の一角で作り、完全な自給自足の有機栽
培を目指したいのですが、農協で購入することのできる完全密閉式のコンポストの専用
バケツを使っても、どうしても作業中に匂いが出ることを考えると、隣近所の方への配慮
から今の所はそこまでこだわることを諦めています。 農薬(一般の殺菌剤や殺虫剤)を
使いたくないので、有機栽培のために木酢液と中国漢方の自然エキスを散布しての栽
培も、いくら体に安全とはいえ、匂いがちょっと、と言われると、高濃度の希釈で使うのを
ためらってしまいます. あまり薄めて使うと本来の効果は望めなくなりますし、いろいろ
な面で理想と現実のギャップに直面しながら、どこか妥協しながらも、共同住宅であるこ
とをふまえて、私の場合、完璧な理想を掲げるよりも、無理のない仕方で、緊張しない
で、薔薇との生活を楽しみたいと思っています.お庭の環境だけでなく、多忙な毎日を送
っているため、薔薇のお世話にあてることのできる時間も限られていることを考えると、
自分なりにその中で工夫しながら、そして楽しみながら取り組みたくて...。

  早春から夏の終わりまで高層マンションの間を庭伝いに毎日のように通り過ぎる過
酷なビル風や竜巻嵐君、薔薇の甘い蕾を狙って、前の雑木林から何百、何千と飛んで
来るゾウムシやコガネムシの集団に毎年悩まされながらも、お庭の薔薇たちはたくまし
く、精一杯腕を伸ばし、たくさんの蕾をほころばせて、甘い香りで春のお庭を夢の中の秘
密の花園にして私たちを喜ばせてくれるのです.

  18年程前、結婚してまだ間もない頃、pekoちゃんが園芸屋さんで求めてきた「ピン
ク」と「白」とだけフダに書かれた名も知れぬ薔薇との出会いから、本当にどれほど多く
の発見や感動をさせていただいたことでしょうか。 そして薔薇を取り巻く生態系の小さ
な命への慈しみを覚えることから、どれほどの幸せと豊かな思いを与えていただけたこと
でしょう. 週に数日、18年近く働いてきた東京のInternational Patent Officeでの外
国特許取得手続きに関わる硬い仕事をしながら、薔薇好き、イギリス好きが高じて、自
宅でイギリス雑貨のWeb Shopまで始めてしまい、ますます多忙な日々となりました。 
Office側の事情も含めた種々の事情により、仕事を完全にショップ1本に独立してやっ
てゆく調整がつくのはまだ当分先になりそう...。

  そして、あまりお世話を十分にしてあげられなくなってしまっているのに、お庭の薔薇
たちは牛糞の毛布をまだ取ってもらえずにこんもりとかぶりながら、4月に入って、驚くほ
どたくさんの蕾を付け始めました.

   
  お庭のお友達、ブン太郎も健在です.ブーンブーンと挨拶しながら、忙しく庭を偵察し
ています.
もうじきブルーベリーの蕾が開きそう...、ブン太郎はそれを待っているみたい。
そして4月中旬になって、蕾がほころんで、鈴蘭のように可愛いベル型の花が開くと、待
ってました!とばかりに早速やって来て..。
    
              

  4/8にお庭に恒例のビル風の大嵐が発生して以来、随分若枝がもぎ取られ、木酢君
のパーモントドリンクを飲みながらも、枝先のやわらかい部分が茶色く染みて、ちょっと
悲しい表情をしている子もいますが、折れた先から又新しい若葉が芽吹き始めました.
色々なことがある小さなお庭だけど、ここで生息している小さな命一つ一つと仲良く暮ら
して、ささやかな幸せを見つけては、感謝を忘れないで暮らしたいと思っています.




  (お庭からベランダの上まで持ち上げて誘引している14号のコンテナ仕立てのロサ・
ムルティフローラをカーテン代わりに...、イチゴの花のように可憐な白い一重の小さな
野バラがリンゴの香りとともに、雪が降るようにベランダいっぱい、スプレーでたくさん咲
き零れる頃は本当に夢の中のような幸せを味わえます.)



  そして庭造りはエンドレス...。 
庭に敷き詰めたレンガもすっかり苔むして、風格を増してきました。 この先、きっとまた
庭は木々の生長と共に少しずつ変化を遂げてゆくのでしょうね。

       
 




「Garden Diary - マイナスからの庭造り」を最後まで読んで下さって本当にありがとうご
ざいました。 お庭造りはエンドレスですが、一応、このコンテンツは今回をもって、終了
と致します. 今後、「イギリス・カントリーサイドに可愛らしい村と珠玉の庭を訪ねて」の
コンテンツを新たに作り、以前に訪ねたイギリスの思い出アルバムから、美しいシーンを
回想し、ご紹介したいと思います.

  私の小さなお庭を訪問して下さったことに心からの感謝を込めて...。

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