イングリッシュローズコテージの小さなお庭


イギリス・カントリーサイドに可愛らしい村と珠玉の庭を訪ねて

「中世がそのままに息づく、眠りの森のお城のようなScotney Castle Garden」

キャセイでの長い空の旅も終わりに近づき、日付変更線を越えて、ヒースロー空港に降り立ったのは数年前の7月上旬でした. 旅行の目的と滞在先を聞かれる簡単な入国審査が済み、早朝のヒースローはイギリスらしい白っぽい雲に包まれた幾らかひんやりした肌の感触です.

空港内のカフェで、甘いものに目がないpeko ちゃんは朝からホットチョコレートとアップルパイ、私はカプチーノとスモモのパイの軽い朝食をいただきながら、AA Britain Mapを見ながら、きょうの行程とイギリスの交通標識の復習をして、いよいよハーツのカウンターデスクへ.

ハーツの係りの女の人はたどたどしく単語を並べてゆっくり話す私に、とても親切に手振り身振りを交えて、フォームの記入の説明をしてくれます. 「リンリーン! リンリーン!」と言いながら、耳に手をあてて、カー用レンタルハンディーフォンをジェスチャーを交えて勧めてくれるときには私も緊張がほぐれ、「Thank you for your suggestion. But I think maybe it is not necessary for us.」などと何とか、拙い英語がでてきます。 車が途中でパンクしたりした時、ハンディーフォンがあると、きっととても心強いのでしょうけれど、きっと電話では私の英語力だと、状況を伝えられそうにないし、旅の最終部分には湖水地方をドライブする事になっているけれど、そこでこそ何かあったら、ハンディーフォンが役立ちそうかなと思い、聞いてみると、山奥では電波が届かないので、使えないみたい。それならなくてもよいかな。何かあってもきっと何とかなるでしょう. いつでも2人ともノーテンキというか、楽観的です。10分ほどで保険の申し込みやいろいろ必要事項への確認のサインを無事、済ませたら、車のキーと契約書をいただいて、いよいよハーツのマイクロバスにのって、空港内のハーツの駐車場に向かいます。

バスから降りると広大な駐車場です.もう係りの人のサポートはありません。書類に書いてある駐車場のNo.を探しながら、ようやく見つけると、私たちが乗るのを待っていた車はFiatのブラボー1600、ほとんど新車でビックリです。
なかなか空港から外に出てゆく道が分からず、ラウンドアバウトを何度も回って、空港内をぐるぐる回ったあと、ようやくM4の高速道路に出ることができました。(ヒースローからはどこへ向かうにもまずM4の高速道路に入ってからそれぞれの行き先へ向かいます.) きょうの行程はロンドンの南のカントリーサイド、ガーデンオブイングランドと呼ばれているケント州にある古いお庭、スコットニーキャッスルガーデンとホワイトガーデンで有名なシシングハーストキャッスルガーデンを訪ねる予定です.

ドライバーは勿論、pekoちゃん、ナビゲーターが私です.M4から左の車道をキープしながら、無事にM25にのることができ、ホッとします。 イギリスのハイウェーは道幅がとてもゆったりしていて、しかも高速料金は無料で、とても走りやすく快適です.

ジャンクションがNo.で表示されるので、下りるNo.さえ事前に地図で確かめていたら、気持ちに余裕をもってドライブに専念できて、車間距離もしっかりあいているので、風景を楽しみながらのドライブです. ジャンクション5番で高速を下りて、、南下するために一般道のA21へ下りるはずだったのに、なぜか下りる直前でA21方面が2方向に分かれ、どっち!?考えている間もなく、あっという間に5番を通り過ぎ、ジャンクション4番まで行ってしまって...。ごめんね。pekoちゃん。
イギリスの高速道路ってすごく分かりやすいね!とさっきまで2人で感動していたはずが、どうしよう!! どうやって戻ろう!ドキドキです. でも大丈夫、ちゃんとUターンできる道があって、5番から無事にA21に下りる事ができました。  高速道路から一般道路に降りて、カントリーサイドの道に入ると羊のはむ牧草地が広がり、とっても心が和みます.  
            

 スコットニーキャッスルガーデンに向かう道の途中はなだらかなカントリーサイドです。 途中で喉がすっかり渇いたけれど、日本のように自動販売機のような風景を損ねるものはないので、どうしようかな。 と思っていたら、ちょうど道端でチェリーを売っているおじさんを見つけました.(ガーデンエッセイにも載せている写真ですが、)2種類のチェリーをそれぞれハーフパウンドずつお願いしたのですが、おじさんは気前よく!? 1パウンドずつ紙袋に入れてくれて、合計2パウンドも! どうしよう!こんなに食べられないな. でも「Have a nice trip !」とウィンクしてくれるおじさんをがっかりさせたくなくて、「Thank you !」と言って、2パウンド分のお支払いをした後、2人で山ほどのチェリーを頬張りながら、喉の渇きもしのげて、一路、スコットニーに向かいます.
        
 あやうく通り越しそうになったスコットニーキャッスルガーデンの入り口です.
表に表札が出ていて、入り口から駐車場まで車で向かったあと、アップダウンする敷地内を散策しながら、ガーデンに向かいます。 スコットニーキャッスルは14世紀に作られた城塞と17世紀に作られたお城からなる歴史的な古い建築物でしたが、1836年に屋敷の主エドワード・ハッシーによって半分、崩壊され、その廃墟が織り成す風景が水辺の庭と共に絵のような風景をかもし出しているガーデンです.
      
古いお屋敷に向かっての散策路は大好きなイギリスの作家、ジェームス・ヒルトンの小説「心の旅路」の1シーンのよう...。
  

古く年季の入ったレンガの壁際にシーズンの終わり、最後の花を咲かせているつる薔薇。


 ガーデンの入り口にはNational Trustのボランティアの方がチケットを販売しています.(イギリスの環境&遺産保護団体であるナショナルトラストは、イギリス国内にある200以上の庭園他、土地を所有・管理していて、その趣旨を理解し、応援する大勢のボランティアや世界中の会員によって活動が支えられています.年会費を払って会員になると、ナショナルトラストの所有するガーデンなどに自由に入場することのできるパスが発行され、保護活動に参加することもできます。)

日本人は珍しいのか、色々な事を質問されて、私たちがイギリスのカントリーサイドのガーデン巡りにきょう、ヒースローについたばかりのことを話すと「それならばNational Trustの会員になりなさい。2人で51ポンドで1年間、イギリス中にあるNational Trustのガーデンを訪れる事ができるパスなので、2週間、ガーデン巡りをするのなら、ぜったいに、この方がずっとよいですよ!」と熱心に勧めてくれます。 あまりの熱意に打たれて、入会し、ナショナルトラストのガーデンのガイドブック他、たくさんのパンフレットが入ったペーパーバッグを手に、早速、園内に入りました.
        
 蓮の花の咲くシーズンはどんなにか美しいことでしょうね.
 
    大好きなブン太郎にはイギリスでも会えて、嬉しくて! 
      
イギリスの道端のあちらこちらで見かけた繊細で可愛い白い花はカウパセリかしら? もしそうだったら、カウパセリはイギリスではQueen Ann's Laceとも呼ばれているのですって! ロマンティックな命名ですね。
お城のほとりの小さな湖では、可愛らしいカモ?が泳いでいて、pekoちゃんが口笛を吹くと一目散で岸辺にやって来て、ザッバーンと私たちの足元まで飛び跳ねて、お水から上がり、挨拶に来てくれました. 人間にとてもよくなついていて、とっても可愛い子達でした.


 


          水辺のほとりにたつ水車小屋のような建物.
        

 石垣の壁だけが残されたお城の前庭はラベンダーやサントリナ(コットンラベンダー)の咲く素適なハーブガーデンでした.
とてもよい香りが立ち込めていて、物語が生まれそうなロマンティックな郷愁を誘う、古城の跡です。




            
純白のクレマチスが雪を降らせるように、朽ち果てた石造りの門から、こぼれ咲く美しいひとこま。
     
もう少し早い時期だったら、藤つるやジャスミンも咲き乱れるそうです.でもクレマチスとつる薔薇が咲きこぼれるだけで私には十分すぎるほどロマンティック!でした。
石壁にはう赤紫の小輪のつる薔薇は大好きなファイルフェンブラウ.




 水のほとりにひっそりと眠り続けるスコットニーキャッスルガーデン、ここでは遠い昔、どんな人が住み、どんな人間模様が繰り広げられたのでしょう? 年月が過ぎ行き、住み人がいなくなっても、当時と変わらず、水辺で生息しつづける生き物達と可憐な植物達.

ここでは時間が止まってしまったかのような、静寂したひとときを見つけることができます。

水辺での散策を楽しみに世界中から訪れる旅行者をしっとりとした風情と落ち着きを持って迎えてくれる素晴らしいボーダー花壇をもったロマンティックなウォーターガーデンの一つです.


Scotney Castle Garden
Address: Lamberjurst, Tunbridge Wells
  Kent, TN3 8JN
Tel: 01892 891081






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