イングリッシュローズコテージの小さなお庭


Garden Essay - 小さなお庭で見つけた幸せ
 
2002年04月20日
Very English ! な日

  今日は1日、曇りがちのひんやりした爽やかな気候でした.まるで高原にいるようなさらっとした、湿度を感じない空気に、空全体が白っぽい淡いグレーで、こんな日はどうしてもイギリスを思い出してしまいます.そう、こんな感じだった.時折、雲の合間からサーッと明るい陽射しが差し込めて、でもまたしばらくして空を見上げると、空一面、曇っていて。曇の向こう側に,明るい太陽があるのが分かるくらい、雲の色が色々に変わるの.サーッと明るくなったかと思えば、突然全体に真っ暗に影が差したり、雨が降りそうなのに降らないで、(イギリスの場合、殆ど間違いなく、ここでシャワーのような雨がサーッと降るの.そしてしばらくしてまたサーッと上がるの.)くるくると目まぐるしく空の色が変わります. 

 
          Sissinghurst Castle Garden - 宿根草の裏庭

  この間まで、Crazyな位、Hot ! Hot ! な日が続いて、桜だけでなく、薔薇たちまですっかり時計が狂ってしまい、もう5月になったとすっかり勘違いして、早咲きのルイーズ・オディエ、ジャクリーヌ・デュプレは先週からぽつんぽつんと一番花を咲かせ始めたけれど、アーチのスパニッシュ・ビューティーも今週の半ばからフリルいっぱいの一番花を大きくほころばせ始めました.今日はもう10輪くらい咲いています.こんなに早く咲いたのは今までになかったこと.暖冬や冷夏は珍しいことではなくなりましたし、人間が地球をあまりにも身勝手な使い方をしてきたために、自然界のシステムに大きな影響を与えてしまっているのでしょうね。

  それはともかくとして、今日のようなVery Englishな日が好きです.そう、この空気の感じ、肌に当たるさらっとした、ちょっとひんやりとした感触、 空の色。 シシングハーストのガーデンを夕方お散歩したときに吸った空気と同じ感じ.ウエストディーン・ガーデンでキッチンガーデンを散策した後、コイの泳ぐ小さな池のある、クレマチスの絡んだ長いパーゴラのトンネルを抜けたとき、空の色は真っ白なのに、時折差し込む柔らかな印象派の絵の中で見るような陽の光の感じ。 

                 

モティスフォント・アビー・ガーデンでもそうだった.暖かい初夏の陽射しに, 「今日はとってもラブリーな日ですね!」とガーデンを訪れた人は皆、嬉しそう. でもその10分後にはいきなり、強めのシャワーのような雨が空から落ちてきて、慌てて、皆でウインクしながら、コーナーにあるあずまやに駆け込んで、しばしおしゃべりしながら、空をちらちら見ては、「今日は本当にベリーーー!イングリッシュな天気ですね。!」と、うなずき合い、(確かこの日は一日に3,4回、降っては、またぴかぴかの青空に上がったりの忙しい日でした.)
これぞ、Very English weather.

  イギリスに初めて行ったのは今からもう12年も前の6月の薔薇のシーズンです.自分で作った旅程表に基づいて、列車とバスを使って各地のB&Bに泊まりながら、南のケント州から北のスコットランドまで移動しながらの3週間の旅でした.ロンドンについてから、すぐに行ったリージェント・パークのクイーンメアリーのローズガーデンのなんてロマンティックで素適だったこと.ロープに絡めたつる薔薇がガーデンの周りを縁取り、ブッシュローズの茂みからはリスが可愛らしい顔を覗かせて、...海辺の田舎町フォークストーンを訪れたときも、駅の近くの名のない公園は今を咲き誇る薔薇たちの香りでむせ返るよう、ベンチにはレース編みをしているおばあさんが座っていて、ベンチの回りもつる薔薇が咲きこぼれていて...。
まるでメルヘンの童話の中の挿絵のような美しいシーンでした。ケント州のリーズキャッスルのお城の裏庭にあるハーブガーデンで過ごしたひと時の時間のなんて幸せだったこと.

  それから10年経って、ようやく2回目にイギリスを訪れることができたのは2年前の7月.英語は読むほうは何とかとして、ヒアリングがとにかくだめで、旅行中は「I'm sorry. I can't understand. Plese speak more slowly.」と「Would you please tell me, again. Thank you so much.」を連発しながらのたどたどしい会話力なのに、 今度は大胆にも海外での初めてのレンタカーで2週間、イギリス・カントリーサイドを回るというもの.不安がないわけではないけれど、イギリス人の優しさとホスピタリティーの精神を知っているので、イギリスだからきっと大丈夫ってなぜかホッと安心できるのです。アメリカだったらきっと行けない.

  それで、このたびの旅行も往復のエアーチケットを取るだけ、あとは全てイギリスの地図とガイドブックとにらめっこしながら、自分で全部立てたもの.出来上がった旅行プランのタイトルは

 ゛イギリス・カントリーサイドを巡るドライブ旅行 - 美しい村々と珠玉の庭を訪ねて”

というものでした。薔薇はどこも終わリかけていて、イギリスはすっかり夏。そして薔薇のあと、7月はイギリス人の大好きなベリーの季節の到来でした。



ヒースロー空港からスコットニーキャッスルガーデンに向かうドライブの途中、喉の渇きを癒すために道端で屋台を広げているおじさんから、ブラックチェリーを買いました.旅行中の買い物やレストランでのオーダーは全て英語の全然話せないpekoちゃんが頑張って担当します。 「Hello !」と満面の笑顔で話し掛けた後、(pekoちゃんは本当にフレンドリーでいつも笑顔の温かい人です。)、「This one, please.」と、どこでもリラックスして、手振り身振りを加えながら、ひとときのコミュニケーションを楽しみます.イギリスの人はホスピタリティーに溢れた方が多くて、別れ際ににっこり微笑みながら、「Have a nice trip !」とか「Have a good day !」と言ってくれるので、とっても温かい気持ちになります.

 
         

                           
  
  グリム童話から飛び出してきたように可愛らしい民家も道中、あちこちで見かけます.

  ああ、イギリスを思い出すと、次から次へと美しい絵の中のようなシーンがまぶたに鮮明に浮かんできて...。 次はいつ行けるでしょうか?
でも、きょうのようなVery Englishな日はイギリスにいる気分をとても味わえるので、目をつぶってひんやりした空気を肌に感じながら、思い出すだけで、とってもEnglishな気分になれるので、幸せです. そんなVery Englishなきょうは、午後、お庭でショップの商品を撮影しました.イギリス・カントリーサイドにあるハンドメイドの会社から直輸入したヴィクトリアン・ナイトドレスやオールドローズが刺繍された美しいニードルポイントのクッション、ティーコゼーetc. ...
2年前の旅行の際、訪れた小さな村で見つけたヴィクトリアン・ナイトドレスがあんまり可愛くって...自分用に1枚求め、そのあと訪れたさらにもっと小さな村の雑貨屋さんで見つけたニードルポイント刺繍が美しいティーコゼーは母と妹と友人のためのプレゼントに求め...。とってもノスタルジックで優しくて、ショップ用に同じものをシリーズで輸入しました.

  薔薇がとても好きで、イギリスがとても好きで、イギリス・カントリーの優しい暮らしがとても好きで、...とうとう、H.P.でイギリス雑貨のお店まで始めてしまうことになりました.
きょうはお庭でイギリスの優しい雑貨たちを撮影しながら、(そのうち欲しいなと思いながら、いまだにデジカメを持っていないため、愛用の一眼レフで撮影して、できた写真をスキャナーで取り込んでいるのです.デジカメを使ったらすぐに画像を取り込めて、きっととても便利なのでしょうねえ。)イギリスの香りに触れる幸せを味わいました.

  新たにUPしたばかりの"Garden Diary - マイナスからの庭造り”を書き終えたら(一体いつになることやら.あれやこれやと忙しく、なかなか取り掛かれなくて、進みません。 いつも少しずつの更新でごめんなさい!)、次は是非 ”イギリス・カントリーサイドの旅行記 - 美しい村々と珠玉の庭を訪ねて” のページを作りたいナと思います.それまで、気長に待っていていただけたら気分はとっても lovely!です.

(下の写真はScotney Castle Gardenの絵のように美しい風景)
   





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