イングリッシュローズコテージの小さなお庭


Garden Essay - 小さなお庭で見つけた幸せ
 
2002年11月18日
美しい11月&10月を振り返って


 11月も半ばを過ぎ、自宅周辺の木々もすっかり色づき、庭の向こう側、雑木林の表側にある銀杏並木も絵画のような優しいトーンの山吹色に染まり、出かけるたびにワクワクします.
今年はあまりにも忙しく、紅葉狩りに出かけることはできそうにありませんが、ごく身近な木、それがたとえ1本であっても、ゆっくり眺める気持ちの余裕さえあれば、幸せを与えてくれる事に気が付くし、本当にリラックスさせてくれます。

 木々の間からこぼれる陽光も、この時期になると、黄色く染まった美しい葉を通り抜けて差し込む金色の光がますます柔らかなヴェールに包まれてゆき、どこを歩いても美術館のように素適な11月です。 オレンジ色に色づいたあと、はらはらと葉を落とし、たわわに実った柿が家々の庭を彩る、日本ならではの優しい風景が小さな町のあちらこちらで見られて、11月は本当に何て美しい季節なんでしょう! 
     
  我が家の庭もすっかり、晩秋の雰囲気に向かい始めました.
夏に収穫を楽しんだブルーベリーも、葉っぱを燃えるような赤に染めて、色彩の乏しくなったお庭に彩りを添えてくれています。 

   

          
 庭の奥に植えた白樺の赤ちゃんも3年ほどたち、びっくりするほど大きく成長しました. ほっそりとした赤ちゃん苗だった頃、こげ茶色だった幹も、毎年少しずつ、皮がむけては、白くなってゆき、赤ちゃんから小学生へ、そして青年期へと向かっています.
そして、この時期庭のあちこちでどんどん広がって生育しているアイビーたちの美しさにも目が止まります.
 
(イギリスのPast Times社の通販カタログから、もう何年も前に個人輸入した゛読書するFairy"- 二人とも童話やメルヘンの世界に住んでいる可愛いフェアリーが大好き.)
           

   (シャリファ・アスマと一緒に咲いてくれるのを期待したウィンターコスモスは、シャリファ・アスマが咲き終わる頃、ようやくたくさんの蕾をほころばせ始めました.もう背丈はすっかり小さなシャリファを越えてしまいました.)
   
  薔薇の株元に一緒に植えている宿根草は、有機肥料をいっぱい吸収してみんなちょっと大きくなり過ぎてしまうのが悩みです.伸びすぎた茎が強風に倒れては立ち上がり、ますます横広がりに大きくなってしまって、どうしましょう。 夏以来伸び続けるラベンダーセージと共に花壇がジャングルとなりそう。
          
  10月あまりにも忙しかったため、ガーデンページが書けなかっただけでなく、お庭の手入れもできなかったため、お庭がちょっとワイルドな風景になってしまっているのですが、ようやく時間を見つけて大急ぎで雑草取りをする私のすぐ傍ら、花壇の中のあちらこちらにこぼれ種で芽吹いたスミレを見つけ、元気付けられます. 一緒に抜いてしまわないよう、とっても気を付けながら...。

  子供のいない私たちが実の娘のように可愛がっている猫の翔ちゃん(17年前の夏、靴箱の中に入れられて捨てられていた子でした。まだ目も開いていない生後1週間か10日くらいの子ねずみのように産毛の生えた小さな子で、雨も降ってきて、体が冷え切り、泣き声も弱ってもう死が忍び寄っている事を察知してか、ハエがぶんぶんたかって、卵を産み付けているひどい状態でした.pekoちゃんが連れて帰ってきて、お風呂で卵の産み付けられ、ごわごわの毛の痩せた体を洗い...。子猫用の粉ミルクを買ってきて、2時間おきにお湯で溶き、スポイトで飲ませて育てました.トイレも自分の力ではできないので、お母さん猫が子供のお尻をなめて、排泄を促すように、脱脂綿にお湯を含ませて、お尻をチョンチョンとちょっと刺激して、トイレをさせました。 栄養失調がひどく、歩こうとしても倒れてしまい、生まれつきの脳障害があるのかと心配になるほど、まるで身体障害を負った未熟児のよう、子ネズミのように小さな翔ちゃんでした。 大人になっても子供サイズです.)その翔ちゃんが、今年の初めになって癌にかかっていることが分かり、4月に1回目の手術を受けたあと、1ヶ月もしないですぐ隣の部分に転移・再発生し、今年はどこにも出かけず、ずっと病院通いの闘病生活を送ってきたのです.抗がん剤の全く効かない猫独特の悪質な癌、”扁平上皮癌”との闘いに17才の翔ちゃん(人間でいうと84歳くらい)の足は指先から始まって少しずつ上に上がって、お肉が崩れ、骨まで溶けてゆき、翔ちゃんはアガリクスと鮫の軟骨と霊芝etc.を毎日服用しながら、夜眠っているときも、涙を流しながら、癌と闘い続けました。

(画像は癌にかかる前の両足が健在だった頃の翔ちゃん)

 10月には病院通いが毎週4回のピークとなり、朝pekoちゃんが7:00に診察券を出しに行き、(神奈川で一番評判の高い有名な動物病院なので、いつもとても混んでいて、前もって診察券を出さないと最低2〜3時間待つことになってしまうのです。) その後、午前中交代で翔ちゃんを連れてゆくリレープレーでした。 10月の下旬に入る頃、先生の決断で、翔ちゃんに残っている最後の体力に望みをかけて、2回目の手術を受けることとなり、翔ちゃんは癌に冒され、レントゲンに骨の写らなくなった右足を付け根近くから切断する大手術を受けることになりました。先生達の特別な計らいにより、私たち夫婦もガラス越しに手術に立ち合わせていただくことになりました。翔ちゃんがこれまでで最大の試練に立ち向かうのですから、とても家で待っていることなどできなくて...。毎日交代で病院に通う私たちに先生も特別な配慮を示してくださって.

  心電図と翔ちゃんを交互に見守りながら、1時間半に渡った大手術の最後の縫合の1針を縫っている最中、麻酔が切れてきたのか、翔ちゃんは突然バタバタ暴れ、その後先生達の処置でまたいったん静かになり、手術の全てが終わり5分もしない頃、小さな可愛い翔ちゃんはウヮーンと鳴いて、ちょっとぼんやりとしたとろんとした目を開きました. 助手も含めて、4人の先生達が最善を尽くして全力で行ってくださった手術は無事に終わり、真剣な面持ちだった先生達の表情に笑みがこぼれ、手術は成功のうちに終わりました. まだこの先、転移の心配は引き続きあるため、経過観察のための毎月の通院は欠かせませんが、手術を終えて3週間ほどがたち、翔ちゃんは3本足で元気に家の中をギャロップしながら走れるくらい元気になりました。 癌に栄養を奪われ、痩せていた体もころころ太って重くなってきて、ホッとしています。 このままどうか、翔ちゃんが毎日元気に楽しく暮らせますように!
 
  (右足切断の手術後1ヶ月が経ち、腰のずっと上の方から毛を剃って、ピンクの子豚のようだった皮膚に新しい毛が生えてきて...窓の近くの陽だまりでうつらうつらとお昼寝する翔ちゃん。 子供の時から走り回るのが大好き。3本足になって1ヶ月近く経った今では、上手にすごいスピードで走り回れるほど元気になりました。)

  長くなってごめんなさい。 そういうわけで、10月はどうしてもガーデンエッセイまで書く余裕がなかったのです. でもこうして、本当に久しぶりに静かな時を過ごせるきょうは心も体もくつろげて、自分を取り戻せる貴重な一日です. 何もスケジュールを入れないこんな時間が生活の中のどこかにどうしても必要.... 熱いミルクティーを片手に、久しぶりにお庭をゆっくり見回りながら、たくさんの発見ができる貴重な今日という日に感謝しなくては。

  山鳩がアーチの向こう側にあるバードバスにお水を飲みに来ているのが、ガラス越しに見えます. そうそう、もうじき庭先から最後の柿の実がなくなる頃、恒例の小鳥のレストランを開く準備をしなくては.去年のメジロ君やヒヨ君が大きく成長した子供を連れて皆で食事に訪れてくれるように。 夜の冷え込みが厳しくて、暖かいお部屋に入れて欲しいのか、カマ君が洗濯物や網戸につかまっては、部屋に入れてよー!と三角のお顔で訴えているように見えます.鳥やトカゲにも狙われて、日に日に冷え込みが増すこの時期、夏の大好きなカマ君たちには辛い季節です.

私にとっては秋から冬にかけての時期は5月とは違う、別のワクワクする楽しい夢が見つけられる大好きな季節.

 
   1年中、休みなく咲き続けるスーベニール・ド・ラ・マルメゾンも秋は何日もかかってゆっくりと開花するので、5月の慌しさと比べると、気品に溢れて、とりわけ美しくて...。 
           

 
 
 
   





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