イングリッシュローズコテージの小さなお庭


Garden Essay - 小さなお庭で見つけた幸せ
 
2004年04月17日
薔薇たちの株元の住人たち
    
  (再び巡って来た春の日に - 右手前のアーチより、お庭の向こう側、新緑の美しい森、2004. 4.17)



             

 昨年春の薔薇のシーズンの終わる頃、愛娘の翔ちゃん(猫)を1年半に渡る親子共々の癌との壮絶な闘いの末、亡くして以来、ショップの運営を何とか行うのが精一杯の精神状態だったため、心にぽっかり大きな穴が開いたままで、言葉を失ってしまい、お庭の日記を書けないまま、お庭の手入れもできないままにぼんやりと仕事を行う日々を送っていました。

  私とpekoちゃんの心の中に生き続けている可愛い翔ちゃんの面影をいつもどこかにあてもなく探しながら...、翔ちゃんに会いたい!会いたい!と心の中で叫びながら、あまりに心が苦しくて、自分を駆り立てるように仕事をし続けてきました。 そんな中、「ガーデンページをいつも楽しみに見ています。」「我が家もカチカチの瓦礫の詰まった庭土なのですが、くじけそうになるたびに、マイナスからの庭つくりのページを何度も読んでは、あきらめないでがんばろうと思います。」etc.の温かなメールをたくさんの方にいただきながら、たくさんの励ましをいただきながら、ガーデンページの更新がちっとも進まずに本当にごめんなさい。

ショップ(English Rose Cottage)のメルマガでは、お庭の様子を更新のたびにちょっぴりお知らせしていたのですが、K's Rose Gardenでは昨年の夏より、古くなったマンションの大規模改修工事のため、夏から冬に向かう間、外壁の塗装工事、ベランダの床修繕工事、他の修繕工事が延々と続き、高層から工事のものが落下してくる危険があるため、お庭に出ることのできない期間が何週間もありました。 残暑の続く中、お庭に出るための窓ガラスに外側からテーピングで閉め切られてしまい、お世話を受けられない鉢薔薇たちと宿根草の赤ちゃんたちのうち、何本かは水切れのため枯れてしまい、お庭の中に工事の業者の方が出入りするため、ゆっくり手入れをしてあげることもできず、ぽっかりした心を抱えたまま、口をきくことのできない薔薇たちにごめんね。と言い続けていました。  連日続いた通院と悪夢のような癌との苦しい闘いの間、いつもじっと忍耐し、この小さな体のどこにこんなに強さが秘められているの!と私たちが感動するほど、最後まで精一杯威厳を保って、がんばり続けたスーパーマンのように健気な翔ちゃんを思うと、いつまでもくよくよしていてはいけない、翔ちゃんが私たちに与えてくれた語り尽くせない思い出とたくさんの幸せに感謝して生きてゆかなければ、と自分を励ましながら...。

 冬が来るずっと前に、フェンスやベランダに誘引していたつる薔薇やイングリッシュローズたちを思い切り短く、強剪定しなければならず、数え切れないほどスプレーに美しい純白の花を咲かせたロサ・ムルティフローラのほんのりと色付き始めた可愛いローズヒップを全て切り落とさなくてはいけないときには涙が出ました。 お庭の左側に設置したトレリスに沿ってぐんぐん伸びたジェーン・オースチン、ルイーズ・オディエ、etc.の半つる性のイングリッシュローズ、オールドローズも「工事業者からのお知らせ」により、秋早々に切り込まなくてはならず、pekoちゃんの手作りのトレリスもすべて、取り外し、お庭の風景が悲しくなった8ヶ月でした。

(古い白フェンスを撤去したあと、新しいフェンスを立てるために水糸を引いて、施工の準備をしています。)

          
(古くなった3連のトレリスは両はじの2x4材がすっかり朽ちているので、新たに付け替えて、ペイントもし直さなくては...。)


(最初お聞きしていた工事の工程では、フェンスの塗装ということで、塗装に邪魔にならないよう、フェンス際の植物は全て今月中に鉢上げしてくださいとの、悲しいお知らせでした。 フェンスに誘引して、のびのび育っていたガートルードジェキルやルイスオディエ、など、後ろの列に植えていた薔薇たちを泣く泣く、切り詰めて、鉢上げし、それができない子は工事の邪魔にならないよう、手前に引っ張って誘引したのに、かなり後日になって、もう一度、お知らせが来て、「フェンスは老朽化しているため、塗装ではなく、取替えに変更になりましたので、植物はそのままでも大丈夫です。」との再度のお知らせが来て、...そんな、今頃言われても遅すぎるのに...。もう後ろ側はスカスカになってしまったあとで、本当にがっくりしてしまいました。)

ともかく3月から4月にかけて、ようやく最終工事として、鉄部の傷みの激しい専用庭の白フェンスが撤去され、新しい白フェンスに取り替えられ、長かった工事が全て終わり、お庭に静けさが戻ってきました。 ブン太郎もヒヨもメジロもオナガも皆元気に春を楽しんでいます。


             
  毎年、3月にハンギング用の新しい寄せ植えを幾つか作ります。 初夏に向けて大きく成長して、素適なカラーグラデーションを奏でる日がとっても楽しみ。 どうぞビル風君にあまりいじめられませんように!
    
 毎年、春になるとカゴからこぼれんばかりに咲く、青い星型のお花たち。 大好きです。
 
工事の音が止み、静けさを取り戻した早朝のお庭には、暖かな春が来て、もうあちこちで食べ物を見つけられるはずなのに、相変わらず、pekoちゃんの開いている”小鳥のレストラン”で提供される朝ごはんのバナナを楽しみに、常連のヒヨたちが通ってきます。 お庭の向こう側の小さな森ではウグイスが、朝の発声練習を行っています。

薔薇の足元では冬の間、姿を消していた宿根草たちが、牛糞の肥料にすっかり勢いをつけて、目覚しい成長ぶりを見せています。薔薇たちの株下が見えないほどにぐんぐん育ってしまうの。
でも熱風の吹き溜まりとなる、お庭の暑い夏を無事に越せるのはこの中でも特に強健な子たちだけ...。



     
いつもだったら2月の元肥の頃に、雑草として抜いてしまう草花が、どんなお花をつけるのか、会ってみたくて、あえて雑草取りをしないでいたら、こぼれ種から咲いたゲラニウムの赤ちゃんに混じってこんなに可愛い黄色のお花が咲きました。 どの子も可愛らしくて、いとおしさを感じます。
何だかイギリスの野原を思い出しました。


     
こぼれ種が風に運ばれて、花壇の中のあちらこちらにゲラニウムのブルーや薄いヴァイオレット色の小花が咲く4月が好きです。 ひんやりとした朝の空気が、空がイギリスを思い出させてくれるから...。 レンガの隙間からお顔を覗かせている雑草君もこんなに伸び上がって、つぼみを持ってしまうと、かわいそうで引き抜けないの。 どうしましょう。どんなお顔で咲くのか見てからコップに摘みましょうか。

  


夢の国のお花のようでしょう?...。毎年再会が楽しみな、妖精のように可愛い子。

            
初夏の朝ごはんに、ヨーグルトと一緒にいただくのが楽しみなブルーベリー、今年もたくさんの花をつけたので、ブン太郎は大喜びです。

    
春から夏にかけて、お庭を吹き抜けるビル風君に揺さぶられながら、互いにもたれかかりあいながら、伸び上がり続ける薔薇君(ライラックローズ)とジギタリス君の背比べ。 どちらが高くなるかな?



             
毎年、花壇のあちらこちらで可愛い姿を見せてくれるスミレ君。優しい色合いのシンプルなドレスがとっても素適な子たちです。牛糞の中にもスミレの種が入っているのかしら? 冬の間、牛糞でマルチングした挿し木の鉢薔薇からもこんなにたくさんのスミレが可愛いお顔をひょっこり出すので、びっくりです。
      
お庭の裏の小道部分に植えているオールドローズの足元に毎年、姿を見せてくれるイチゴとブルーのシラー。 これからグーンと伸び上がって、素適なブルーの花を披露してくれます。

鉢に受けっ放しの原種系の小さなチューリップも、4月になると可愛いお顔を覗かせてくれます。


そして、美しい衣装をまとって、薫り高く咲く薔薇のシーズンも開幕です。

薔薇たちの甘い蕾を狙って、たくさんの虫たちが出てくる時期も同時に開幕して、ティッシュとコップをもってゾウムシを捕まえる慌しい日々も始まりました。
                  
       オールドローズの中でも、チャイナ系の薔薇は特に早起きさん。
       4月15日に早々と一番花をつけた、オールドブラッシュチャイナ。
 

pekoちゃんの大好きなロサ・キネンシス・ムタビリス。 チョウチョのように可憐な一重の花弁が陽に当たるにしたがい、淡いピーチ色から赤へと染まってゆきます。 この子も4月15日には1番花を見せてくれました。
    

チャイナローズのあとを追いかけて、あどけない蕾をスプレーにほころばせるムスク系の薫り高い薔薇、コーネリアが一番花を明日の早朝には開きそう...。
同じハイブリッド・ムスクの大好きな薔薇、フェリシアと共にお庭を素適な香りで包んでくれそうです。 イギリスを思い出させてくれる4月のお庭がとりわけ好きです。

          

   





次ページへ

 K's Rose Garden トップへ戻る   Garden Essay目次へ戻る

* 当ホームページに掲載されている画像、文章を含む全ての内容の無許可転載、転用を固く禁止いたします。全て
の内容は日本の著作権法及び国際条約によって保護を受けています。