イングリッシュローズコテージの小さなお庭


来年の春を夢見て、秋の種蒔きと球根の植付け
                                     1998. 秋 〜1999. 6月

                  

    来年の5月の薔薇のシーズンを夢に見ながら、アーチの左側に新しいローズ花壇を
造ったあと、イメージはますます広がってゆきました。バラ園のように薔薇が規則正しく
ただ整列しているのは絶対いやだし、一つ一つの花壇は奥行きが狭く、それほどスペー
ス的にゆとりがなくても、できればイギリスのハーヴェイシャス・ローズボーダーのよう
に、色彩的にも美しい絵を描きたい!
アーチの両側も可愛いパステルカラーのパンジーとチューリップで明るくしたいし..。

   
   (眺めているだけでワクワクした気分にしてくれる美しいパッケージ)

  大好きなブルーやラベンダー色の宿根草やハーブ、ゲラニウムやラベンダー、ヒソッ
プ、キャットミントを薔薇と共に夢のようにファンタスティックなグラデーションで植え込み
たくて、勿論、早春を彩る可愛らしい球根類、大好きなブルーのシラー、香りが良くて清
楚な白系の水仙もチューリップと一緒にいっぱい植え込みたい!し。
木も優しいラベンダーピンクの花と香りを楽しめるライラックの苗木を植えたいな.
pekoちゃんは白樺の赤ちゃんをいっぱい植えたい、と言ってます。
スペースは限られているのに、夢は広がる限り...。どうしましょう。

  でもとりあえず、秋に向かう10月、幾分暖かい日の続くことの多いこの短い時期に秋
蒔きの種、蓼科のバラクライングリッシュガーデンで求めてきたイギリスの輸入種、ホワ
イトレースフラワーの種をまず蒔きましょう. レースのパラシュートがとてもロマンティッ
クで清楚で美しいのに、こぼれ種から群生して咲くため、ヨーロッパでは時に雑草扱いさ
れて抜かれてしまうこともあるというのが、信じられないくらい。
だって、こんなに可愛いのですもの.

     

  そして頭の中で色彩のスケッチを描きながら、アーチの中、花壇のボーダー部分にラ
ンダムに3つくらいずつ色々な球根を埋めてゆきます. ここはパウダーピンクのコーナ
ー、こちらは爽やかなブルーと白の組み合わせ、アーチの中のピンクのフリルのつる薔
薇ともマッチングしそう. と色々考えて、最初は計画的に埋めてゆくのですが、最後に
は色々な色がちょっとずつ中途半端に残ってしまい、鉢植えに入れたり、ハーブ花壇の
端っこに入れたり、だんだん計画にない色が結局あちらこちらに入ってしまったりして、
春になって、それがまた思いもかけずよい場合と、失敗の場合とあって。 美しくカラー
ハーモニーを奏でる究極の組み合わせと思っても、咲く時期が微妙にずれて、別々に独
奏を奏でて、あらら!とあとで思うことはよくあること.
でもそんな予想の付かない結果が園芸のワクワクする楽しさでもあるのですものね。
  
  そして、翌年の春早く、球根たちの中で誰よりも早起きな水仙に続き、クロッカス、シ
ーラ、イングリッシュブルーベル、チューリップと、冬の殺風景な光景と全く別世界のよう
な色彩のパレットが展開するのです.

  

       

全てが命を謳歌する春は誰をもウキウキ気分にしてくれるのも無理もないこと。 
明るく元気に奏でられた春の前奏曲のあとは待ちに待った薔薇の季節です.

   

       
    


         
 目を奪われるカラフルな春が目まぐるしい速さで過ぎてゆく頃には、次は私たちの出
番!と言わんばかりに、昨年の春に種蒔きし、育ててきたジギタリスがぐんぐん花穂を伸
ばしては薔薇たちとの競演を披露し、そして1番花が終わりに向かう5月下旬から6月
頃、庭全体がシュガーケーキのようにレースフラワーでデコレーションされた2回目の初
夏でした.
 
 
  夢の中の風景のように美しすぎたこの時をいつまでも記憶に留めたくて、shopのイメ
ージ画像に選びました.一番お気に入りの思い出のシーンです.

   

<この年の後書き> 薔薇の一番花が終わるこの年の5月下旬、庭は竜巻のような恐
ろしい台風に襲われ、一晩のうちに無残な状態となりました。 早咲きの薔薇たちがつけ
始めた2番花の蕾のスプレーはぐるぐるにかき混ぜる異常な風嵐にずたずたにされ、美
しく咲いていたジギタリスやデルフィは全部折られて倒れ、すくすく伸びていたレースフラ
ワーも皆なぎ倒されました. 種蒔きから大切に育ててきたpekoちゃんの顔は泣き出し
そう...。
翌朝の早朝、早起きして絶望的な気分に襲われながら、折れた子達1本1本を抱き起こ
し、ぐっさり折られて死にかけているかわいそうなデルフィたちを花瓶に摘み、ずたずた
にかき回され、傷だらけになったかわいそうな薔薇たちを剪定し、木酢のバーモントドリ
ンク(とうちでは呼んでいます.)を1本1本に与えて、飲ませ、介抱しました.一夜の内に
ギャングのような暴風雨の一団の仕業で平和な園が破壊され、荒れ廃れた小さな庭でし
たが、それから早くも2〜3日後には、なぎ倒されて地面に叩きつけられたレースフラワ
ーが曲がった体を起し始め、10日後には上の写真のように夢の中でしか会えないよう
な素適な風景と変えてくれて、意気消沈している私たちを元気付けてくれたのです。

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