イングリッシュローズコテージの小さなお庭

レンガの小道とパティオ作り
                                           2000. 春 

       
    春の声が聞こえてくるのに、お庭の奥には半年間ブルーシートをかけたままのレンガ
が山積みになっています。 pekoちゃんが忙しく、どうしても時間が取れず、とうとう春が
やって来てしまいました.
これから、可愛い水仙やチューリップがこんにちは!ってあどけないお顔で咲くのに、傍ら
には全然可愛くないブルーシートの小山があり、もうこれ以上この風景が何時とも知れ
ず続く事には耐えられません. ようやくpekoちゃんが忙しいスケジュールの中、レンガ
工事のために3日間取り分けてくれることになり、薔薇の咲く頃には、ロマンティックなレ
ンガの小道を歩いて、香りを楽しめるのかしら?ってワクワクしてきます。
どうか、3日間、雨が降りませんように!

  待望のレンガ貼りの記念すべき一日目は4月を思わせるような春うららかな3月のあ
る日でした. どんなデザインにするかはこの半年間の間に練りに練って決まっていま
す.
アーチの中や小道の部分はランニングボンド敷き、 そしてアーチを出てから向こう側は
ヘリンボーンでちょっとお洒落なテラスのような雰囲気、そうね、パティオのような中庭の
イメージにしたいのです。 しかも単純にヘリンボーンに貼ってゆくのではなく、テラスの部
分は真中に八角の花壇を作って、ベンチに座ったときに後ろからの薔薇の香りと一緒に
ハーブの爽やかな香りも楽しめるよう、ハーブ花壇にしたいのです.ヘリンボーンのテラ
スの周りは3〜4列くらいのランニングボンドで引き締めた感じがいいな。花壇に沿っての
部分はランニングボンド、そして中央部分を広くヘリンボーンにレンガを張りながら、さら
にその中央に八角花壇を作るというのが、どんなに大変かは想像するだけで、う〜ん、き
っととっても面倒だろうな、と思うのですが、どうしても夢見たとおりの理想のお庭にしたく
て、pekoちゃんへの注文がいろいろ増えてゆきます。

  えっ!そこまで3日じゃできないかもしれないよ.八角の方は時間が取れるときに
ね、少し先になると思うよ.と言いつつも、pekoちゃんもこのアイディアが気に入ったらし
く、もうレポート用紙を出して、鉛筆で早速、設計図を書いています.八角は何で作るのが
よいの? そうねえ、レンガがちょっと固いイメージだから、枕木か、木でナチュラルな感
じに作れる? うん、分かった、じゃあ、今度材料を探しに行こうか? 八角を中に作るの
も数学の得意なpekoちゃんには私が思うほど大変でもなさそうです。 さすがpekoちゃ
ん!

  ともかく助手の私としては手伝うべき仕事が山ほどあります。 実はこの日を迎える
前に一人で済ませておいたことに芝生剥がしの作業がありました。 あちこちハゲチョビ
ンの芝生を全体的に5cmくらい掘りながら、剥がしてゆきました.砂とレンガが乗る分、剥
がすだけでなく、どうしても少し掘り下げておく必要があります。 しかも均等に掘り下げ
なくては、レンガを敷いたときでこぼこになってしまうし...。 粘土の地面にカチカチに
しがみついているお化けのような芝生の根っこをスコップで削っては、土だけ削り落とし
て、ゴミ袋へ。 地上部分がすっかり姿を消して、根っこだけしかない哀れな芝生をまた
延々と剥がしては土を削り落としを繰り返し、雨が降ると剥き出しになった粘土質の地面
がぬかるんで、なかなか均一に掘り下げる事ができません。 でも助手としては基礎工
事だけはしっかり済ませておかなくてはね。 そしてアーチの中の小道となる両側に立て
たレンガを埋め込んで、エッジをしっかり作っておきます.

 

  初日に助手がまずしたのは、アーチの中のレンガ敷きです。両側に立てたレンガの
エッジの間に砂を均一に敷いたあと、レンガを平らに1ケ1ケ並べてゆくのですが、なかな
かの楽しさ! カニさん歩きの横歩きをしながら、結構簡単じゃない!どんどんできちゃ
う! ちょっと止まらない楽しさ!! で、あっという間にどんどん敷いて、綺麗に並べ終
わったアーチの中を見るととても嬉しくなり、気分はすっかりガーデナー。 「pekoちゃん、
早く来て、ちょっと見て見て!」と、庭の奥で地面の高さを調整するために水糸を張りなが
ら何やら作業中のpekoちゃんを呼びます.褒めてもらえるかな? 助手としてはpekoち
ゃんの評価がとても気になります。

 
 
  う〜ん、結構いい感じにできたね。と言ってもらえて、それでは、とお昼を作りにお部
屋に入り、その後お庭に戻ると、あれ?アーチの中がなんとなくさっきと違う感じです。
どうやら、あの後、pekoちゃんはもう一度私のしたレンガを外して、やり直したみたいで
す.

   
  私はランダムに自然に見えるよう、フィーリングでどんどん並べていったのですが、き
っちり計算して行うのが得意なpekoちゃんとしては、レンガとレンガの間の隙間部分もラ
ンダムでなく、等間隔にきっちり開けたかったみたいです. それに砂の敷き加減もきちん
と水平になってなかったので、思わず直してしまったのかな? そうかあ、私のしたのだ
めだった? と聞くと、そんなことないけれど、アーチの中はベランダの階段から繋がった
道になるから、そこだけはきっちり等間隔の方が、すっきり綺麗に見えてよいと思うよ、と
のこと。 今から僕がレンガを敷いてゆくから、その後均等に砂を詰めてもらえると助か
るな、とのこと。 了解しました! 棒で突っつきながら、レンガが動かないようしっかり砂
を詰めて、pekoちゃんの後についてゆきます。 

  レンガ敷きをする場合、1日の作業が終わって、次のお休みまでをどのように維持する
かが結構大変です.春爛漫の時期だから、お庭のコンテナ植物へのお水やりも必要だ
し、ベランダの階段を下りるたびにせっかく敷いたレンガがずれてしまいそう...。
そこで、pekoちゃんは、作業途中のレンガの最後の部分がずれて崩れないよう、木の板
をコンクリのブロックで押さえています.

    
    
    
    
少しずつ、小道ができるたびに何だか、お庭が見違えるように素適!!
初日に200個ほどが敷き終わり、次回の作業に備えて、pekoちゃんは庭に印をつけてい
ます.
そして一番大変だったヘリンボーンとバスケットが交差するテラス部分と花壇のカーブに
沿っての不揃いな空きスペースへのレンガ敷き.

    
    

    
器用なpekoちゃんはガラスをカットするグラインダーを使ってレンガを花壇のカーブに合
わせて曲線にカットして、それは完璧に仕上げてくれました. 私はどちらかというときち
んとし過ぎない、自然な並べ方が好きだけれど、pekoちゃんは一つの作品を仕上げるよう
に納得のいくまで、完璧に頑張っちゃうところがあって、それはそれで本当に素適なお庭
になるのですね。
     
  3日目の最後の日、午後から雨が降ってきましたが、この日しかないから、とpekoちゃ
んはガーデナー用オイルコーティングのイギリス製ハットをかぶり、びしょびしょになりな
がら、這いつくばって、空がすっかり暗くなるまでレンガを敷いていました。 「次に時間が
取れるのは1ヶ月以上先になってしまうからね。」とのこと.

     
     
     

  季節は春から薔薇の咲く初夏へと間もなく向かう時期、這いつくばって作業を続ける
pekoちゃんを横目にパンジーやフロックスたちは命を謳歌する喜びに溢れて輝いていま
した。
     
    (終わりかけの開ききった子たちは春の雨予報の前に摘み取って、ガラスのベー
スに入れて窓辺に下げて最後まで楽しみました.) 
   春は本当に何てファンタジックな季節なのでしょうネ。

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